日本維新の会の丸山穂高氏離党!?SNSに見る中高年と若年層の価値観の差
国政政党「日本維新の会」丸山穂高氏が離党した。
事の発端は、丸山氏がTwitterにて発したこの一文に、元大阪市長橋下徹氏がかみついた、というもの。
「(前半略)若造に言われんでも代表は言うだけの人ちゃうし、ちゃんとやりまっせですね、失礼をば。」
http://blogos.com/article/256130/
今回は、有権者の目線から見たときの維新の騒動について分析したい。
そもそも丸山穂高氏とは?
丸山穂高氏は、33歳と非常に若い衆議院議員である。
ルックスも非常にさわやかで、現代風のイケメンといった感じだ。
もともと経済産業省で3年近く勤め、その際に松下政経塾に属していた。
その後、大阪19区から日本維新の会所属の代議士として出馬し、今回小選挙区で3回目の当選を果たした新鋭の議員である。
特に日本維新の会は、地域政党ながら政策に強い議員が何人かおり、そのうちの一人が丸山氏である。
彼らは、民進党や立憲民主党と違い、与党の政策に対して是々非々の議論をすることが多いため、自民党の味方なのか敵なのかを明確にして、政権与党を攻撃したいマスコミにとっては、取り上げずらい政党の1つだ。
特に、2017年の衆議院議員選挙では、希望の党と不可侵条約(三都物語で検索)にもかかわらず、与党との政策で特異点をアピールできず、日本維新の会は票が伸び悩み、改選前の14議席から11議席となる敗北を決した。
丸山氏は、その中でも小選挙区で勝ち上がってきただけに、まだまだ国政内での基盤に弱い日本維新の会党内では重要な議員の1人だったと推察される。
因みに、国会の中で「あほ」「ぼけ」「カス」と民進党を攻撃し、国会を政策論争の場にしようと尽力されてきた足立康史氏は、今回の衆議院議員選挙では大阪9区にて原田憲治氏と激戦を繰り広げ、小選挙区では2000票差で敗北したものの比例復活している。
それだけ、日本維新の会にとっては厳しい選挙であった。
若造の物言いが、創始者の逆鱗に触れた?
ところが、このTwitter騒動の1件で事態は一変する。
丸山氏は、今回の選挙の総括と代表選をやるべきだと主張したのだ。
◆Twitter原文(丸山氏)
「丸山穂高です。堺市長選や衆院選で多くの維新の会の同士が落選した。かつては殺し合いの戦で決着つける権力闘争を選挙という形でしているので当たり前だが命までは取られない。しかし、党として大きく影響力を削られたことは間違いない。党員も議員も同じ一票と言いながらこれまで一度も(続く)」
「(続き)代表選の機会がない維新。今、松井代表が再び再選してもしなくても、堺・衆院選総括と代表選なしに前に進めないのでは。有言実行の政党なら、自らも身を切る改革を進めてこそ、苦しい時も支えて下さる党員や全国支部の声を聞いての再始動の先にこそ、都構想再挑戦や次に向けて浮かぶ瀬がある。」
「民進含め他党にブーメランあかんと厳しく言うといて、自分とこだけ緩いのはあかん、丸山も次4期目とかどうでもええ話、大阪と日本がよーなるかどうかが全て。それ考えたらどう考えても維新は総括と代表選が必要。若造に言われんでも代表は言うだけの人ちゃうし、ちゃんとやりまっせですね、失礼をば。」
一見見た感じでは、文面が若干茶化したような感じではあるが、特段誹謗中傷や上層部への反抗には見えなかった。
ところが、橋下氏は、以下のように反論したのだ。
「①維新国会議員にも丸山という口のきき方も知らない若造が勘違いしてきた。国会議員は永田町病にすぐかかる。丸山も自分の力で当選したと錯覚している。お前が勝てたのは松井さんが知事をやっているからだ。ボケ!代表選を求めるにも言い方があるやろ。ボケ!こいつには一度注意したのにあかんな。」
マスコミは、ここだけ切り取って印象操作をしているように見えるが、このTwitter実はまだ続きがあった。
◆Twitter原文(橋下氏)
「朝日新聞、俺のツイートをしっかり読んでくれ。俺は松井さんが日本維新の会の代表を降りることに反対ではないし松井さんも降りたいはず。大阪維新の会に専念すればいいと思う。ただ丸山のボケのふざけた言い方を批判しただけ。松井さん以外で誰が代表になるのか見もの。」
「松井さんは自ら手を挙げて日本維新の会の代表なんてやらなくてもいい。こんなの国会議員から頼まれてやるもの。大阪は永田町の論理とは違う。松井さんは代表戦で立候補しなければいい。国会議員が頭下げてお願いしに来るよ。特に丸山のボケが頭を下げないと収まらないだろう。」
「僕が怒ったのは、このふざけた言い方。維新は代表任期がない代わりに大型選挙の後は臨時党大会で代表戦をやるかどうかを毎回決める仕組みにした。この仕組みは維新だけ。丸山はきちんとした言葉づかいで代表戦を求めろ。松井さんは日本維新の会を突き放したらいい。丸山のボケは自民党へ就職活動しろ。」
さらに、この後橋下徹氏は、日本維新の会の政策顧問を辞任することになる。
「先ほど松井さんと話しまして、日本維新の会の法律顧問を辞しました。大阪での大阪維新の活動を理解することなく、ふざけた物言いをする国会議員がいるところと付き合うと精神衛生上良くないので。僕はちっちゃい人間ですから、こういう国会議員が一番嫌いなんです。」
執拗に攻撃する橋下徹氏と、何とか反論の機会をうかがっていた丸山氏
本来の人間関係であれば、ここで丸山氏が詫びを入れ、改めて衆議院議員選挙の総括と、代表選を改めて求めれば丸く収まった可能性はある。ところが、事態は思わぬ方向へ流れていく。
橋下徹氏は、その後も執拗に丸山氏を攻撃し続けたのである。
◆Twitter原文(橋下氏)
「意見を言うのも反対を唱えるのもいい。激しい議論は民主政治にとって必要不可欠。でも物には言い方がある。維新の丸山のボケのようなちゃかした言い方、希望の党のように一度は小池さんにすがって、当選したら手の平返し。こんな党では二大政党制の一翼など担えない。まだまだ時間がかかりそうだ。」
「①日本維新の会の衰退原因の一つに維新の支持者もある。丸山を支持しているような支持者が多い政党は絶対に勢力は拡大しない。かつての在特会のようなもの。グループのメンバーも悪ければ支持者も悪い。丸山は正しいことを言っていると言いながら結局全体会議では一言も発さず」
「②丸山は選挙の総括と代表戦が必要と言っておきながら、いざ大阪維新の会の全体会議になれば黙ったまま。そして会議後の取材で自分の言っていることは正しいだと。正しいなら全体会議で言わんかい!丸山は国会という安全な場所で威勢のイイことを言うだけの議員。」
「③僕は安全なところで威勢のイイことを言って肝心なところでは黙ってしまう政治家が大嫌い。保守を強調する議員に多いね。国内では威勢が良く、国際社会では黙ったまま。稲田朋美が典型だけど、丸山もそれと同じ。さらに丸山は人事権者だけに米つきバッタのようになる。」
「④丸山の大阪19選挙区は大阪の中でも最も当選しやすい選挙区。相手候補のタマが悪いのと何と言っても維新の実力者今井氏が存在し、今井氏の力で丸山は当選している。丸山は今井氏には米つきバッタで、その他にはえばり倒している。特に大阪維新の地方議員には最悪の態度。」
・・・
そして、最近のTwitterではこのような一文が出てくるのである。
「地方議員を増やす苦労を知らず、増やした実績にも思いも及ばず、地方議員を1人も増やしたことのない丸山。それで国会質問がネットの一部でちやほやされて勘違い。地方議員を1人でも増やしてから偉そうにしろ!ボケ!」
「丸山の政党交付金や政治資金の流れを追うべき。金で公認を得ている。こんな日本維新の会は消滅すべき。」
最後には根負け?有権者・支援者批判に堪忍袋の緒が切れた丸山氏
丸山氏の反論にもある通り、橋下氏が有権者への攻撃を行ったことで、丸山氏が後に引けなくなったのは事実だ。
「たられば」を語っても無意味であるが、丸山氏はおそらく党の全体会議で、代表選の関して発言するつもりだったのだろう。だが、橋下氏による立て続けによるTwitterの攻撃により、発言する機会を失ってしまった可能性がある。それはそれで、その攻撃に勝てなかった丸山氏の責任は重い。
政治家は有限実行して、初めて信用されるものだからだ。
よく私が言うセリフだが「できることは宣言してもよい。できないことは宣言するな」ということである。
丸山氏に足りなかったのは、昭和の人たちがよく使った「根回し力」「人を丸める力」ではなかったのか?
特に選挙で思うように議席が伸び悩んだ弱小政党は、必ずと言っていいほど内輪もめが発生する。だからこそ、スムーズに総括や代表選ができるように、地元のドンである今井氏や馬場幹事長にあらかじめジャブを売っておく、ということも必要だったはずだ。
すったもんだの末に失った1議席
国会議員とは難しい使命を負っている。小選挙区とという、地方地盤に特化した選挙制度で選出され、全体利益の調和が求められる国会に送り出されるというスキームの中で選ばれた人たちだ。
従って、地方の声は大事にしなければならず、かといって国政の大事を預かる以上国益が損なわれるようなことを推進するわけにもいかない。そういった、優れたバランス感覚を持っていないと、国政を動かすことができない。
とはいいつつ、一番民主主義で重要なのは、「多数決の原理」ではないだろうか?特に弱小政党は1議席の重みが非常に重要になってくる。
そして、その1議席は、有権者が入れた1票に重くのしかかってくる。有権者が候補者の人間と政党の政策に共鳴したからこそ、1議席を獲得しているのだ。
維新はそれを忘れ、筋を通すがあまり重要な1議席を失ってしまった。
正論を掲げ人前で面罵すれば、人はおのずと離れていく
今回の騒動は、丸山氏の弱さと橋下氏の執拗さが生んだことによって、丸山氏の離党という最悪の結果になってしまった。
有権者から見た場合、Twitterの騒動なんて正直どうでもよい話で、「教育無償化」「地方分権」という維新の政策と、丸山氏の国会の行動を見た有権者が、維新つまり丸山氏に1票を投じたのではなかったのか?
にもかかわらず、その思いを反故にした丸山氏と日本維新の会は、次回の選挙で大いなる代償を払うことになるだろう。
そして、橋下氏も同様だ。
話は変わるが、中国人は人前で面罵されると、面罵したした人を生涯憎み続けるという。日本人には受け入れがたい考えだが、考えれば当たり前の話で、「恥」は注いでどうにかなる問題ではない。一生その人に「恥」がついて回るのだ。
本来であれば、人前で「恥」を欠かされた人は、殺されても文句は言えないのである。
日本も昔はこういう考え方があって、例えば全生徒の前で問題を起こした生徒をつるし上げるとか、そういったことはしてこなかった。
ところがSNSが発達していくと、情報がオープンになり、そういった「人前で恥をかかせる」ということに対する意識が薄れてきたのではないかと危惧している。
今こそ「叱るときは人がいない廊下で、ほめるときは人前で」の精神を持った方が、叱られた人も恩義を感じ、人はおのずと集まってくるだろう。
それができなかった日本維新の会と橋下氏が生んだこの結果は、当然の帰趨のようにも思えてくる。