【システム担当者、開発者向け】クラウドコンピューティングの比較
最近では、AWS(AmazonWebService)やMicrosoft Azure、Google Cloud Platformといったクラウドサービスが定着してきた。プログラミングを勉強した人も、レンタルサーバーだけでなくAWSやAzureを活用することで、Webサイトやアプリケーションの開発を効率的に行えるようになったのが大きい。
さらに、経営者の中でも、IT資産のコスト最適化の観点からAWSに関心を寄せる人が増えてきており、お問い合わせや構築依頼を直接頂くケースが増えてきた。
今回は、AWS(AmazonWebService)やMicrosoft Azure、Google Cloud Platformといったクラウドサービスの各特徴と比較についてお伝えする。
AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platformそれぞれの比較
AWSをはじめ、AWS、Azure、Google Cloud Platformといったサービスは、クラウドコンピューティングと呼ばれている。クラウドコンピューティングの主なメリットは、
そのため、従来ではキャンペーンや年末セールの度に物理的にWebサーバーを増設したり、DBサーバーのスペックを増強していたものが、都度Webコンソール上でサーバーを増やしたり、スペックアップを行うことが可能だ。
それでは、いくつかのポイントを元に、クラウドコンピューティングの比較をしてみよう。
シェア | 1位 | 2位 | 3位 |
サービス開始 | 2006年7月 | 2010年1月(正式なサービス開始) | 2008年4月 |
費用・コスト |
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サービスの豊富さ | ◎ | ○ | ○(ビックデータや機会学習、翻訳・OCRに特化) |
性能・プランの多さ | ◎ | ○ | △(チューニングできないケースあり) |
拠点(データセンター)数 | ◎(アメリカ・EU・アジア・オセアニア) | ○(アメリカ・EU・アジア) | △(アメリカ・EU・アジア) |
セキュリティ | ○ | ○ | ◎ |
サポート | ○(無料・有料) | ○(無料) | △ |
IaaS | ◎ | ○ | ○ |
PaaS | ◎ | ◎ | ○ |
SaaS | ○ | ○ | △ |
メリット |
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デメリット |
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※2019/01/10現在のデータをもとに比較。サービス比較には、一部個人的な主観も含まれる。
他にも、IDCFクラウド等国内のクラウドコンピューティングサービスは何社かあるが、多国籍で展開しているサービスは上記の3社が主流だ。それでは、それぞれのクラウドコンピューティングサービスの特徴を、簡単に解説していこう。
AWSとは?
AWSは、物販大手のAmazonが、社内のビジネス課題を解決するためのITインフラストラクチャやアーキテクチャを、社外向けにWebサービス化したものである。
特徴的なのは、AWS MarketPlaceといわれる、アプリケーションとサーバーがセットになったもの(Saas)を、購入ボタンを押すだけで非常に高速に構築ができる機能をサポートしている。CMSプラットフォームのWordpressや、ECサイト構築プラットフォームのMagento等、ありとあらゆるクラウドサービスを簡単に構築することができる。
最近のAWSでは、
- コンピューティング(仮想マシン)
- ストレージ
- データベース
- 分析ツール
- 専用ネットワーキング
- モバイル向けサービス
- 開発者用ツール
- 管理ツール
- IoT(Internet of Things)
- セキュリティ
- CDN
等、様々なサービスを提供する一大基盤になっている。
Microsoft Azureとは?
Microsoft Azureとは、マイクロソフトのクラウド プラットフォームである。特に、Microsoft製品系との親和性が高く、PaaS/IaaSに非常に強いのが特徴だ。特にWindows Serverを利用している会社やエンジニアにとっては、非常に親和性が高い。そのほか仮想化技術(Hyper-V)上で動作するLinuxの構築も実現できる。
Azureも、AWSと同様Web上でITリソースの操作が可能だ。
Azureでは、
- コンピューティング(仮想マシン)
- データベース、ストレージ(SQLデータベース)
- データ分散化技術(Hadoop)
- 機会学習
- CDN
- 分析ツール
- OCR(光学的文字認識)のサービス
- 専用ネットワーキング
- セキュリティ
等、AWSに近いサービスを提供している。
AWSと比較するとSaaSの機能が弱いので、アプリケーションやシステム運用に詳しくない人には、導入や運用するにはハードルが若干高いかもしれない。
Google Cloud Platformとは?
Google Cloud Platformとは、Googleが運営しているクラウドコンピューティングのプラットフォームだ。Google検索やYouTubeなどのエンドユーザー向けのサービスと同じインフラストラクチャーで運営されており、簡単なウェブサイトから複雑なアプリケーションの開発まで対応しているのが特徴だ。
特に、Googleが提供しているサービス(GoogleMap、Googleカレンダー等)に特化しているAPIを実装している。例えば、GoogleMapをカスタマイズしてサービスを提供する際は、必要なサービスの1つだ。
Google Cloud Platformでは、
- コンピューティング(仮想マシン)
- データベース
- ストレージ
- 機会学習、AI
- 分析ツール
- Googleのサービス専用API
といったサービスを提供している。Googleのサービスをよく利用されている方には使いやすいと思うが、より柔軟にアプリケーション連携を行いたい場合は、AWSやAzureと比較して若干機能薄かもしれない。
最後に
というお問い合わせに関しては、私は「AWS」と回答している。一番の理由は、「ソフトウェア開発者」でなくても操作できる機能が多いからだ。
さらに、世界中のビジネスのグローバル化が加速する中、世界各地に最もサービスを展開しやすいのは、世界中にデータセンターを構築しているAWSなのが現状だ。しかしながら、他の2社も、AWSでは実現できないサービスが実装されているので、状況に応じて、使い分けるのが良いだろう。