【AWSに興味がある人向け】AWSの活用方法と事例
先日、クラウドコンピューティングの記事を取り上げたが、その記事についていくつかお声がけを頂いた。
その中で、
- クラウドコンピューティングの比較はいいんだけど、実際にどのような事例があるの?
- データセンターを中心とした仕組みからAWSに切り替えた結果、どのようなメリットがあるの?
の様な、事例をご要望の方は何人かいらっしゃったので、今回は、私が手掛けたAWS案件の事例を紹介する。
AWSの活用事例
事例1:Wordpress+ランディングページ [Amazon EC2 & S3]
最初の事例は、Wordpressとランディングページ(静的HTML)を、レンタルサーバーからAWSに移行した事例だ。
Wordpressは、シンガポールリージョンに属するAmazon EC2という仮想サーバーに移行し、ランディングページ(静的HTML)はAmazon S3というストレージに保存・公開した。
Amazon S3は、サーバーサイドで処理を行う必要のないコンテンツ(HTMLやCSS、Javascript、画像)を大量に保存できる。また、S3はWebサーバーの様な活用もできるので、HTMLfileであればホスティングすることも可能だ。
コスト面も、レンタルサーバーとほぼ同じ月2,000円程度のコストで運用できている。さらにストレージの利用価格が非常に安いS3を利用できるので、従来のレンタルサーバーよりもより拡張性が高くなった。
静的HTMLを大量に抱えている案件には、向いている構成と言えるだろう。
事例2:Wordpress [Amazon LightSail + Route53]
次の事例もWordpressだが、AmazonEC2よりもさらにコストが安いAmazon LightSailを使った事例だ。
Amazon LightSailは、非常に簡単にサーバーを構築できる仕組みで、かつ月額コストが$3.50~(400円~)と、非常に安いのが特徴だ。これに、Amazon Route53というドメイン管理のサービスを併せて導入したが、それでも月$5(600円~)程度と非常に安い。
ところが、このAmazon LightSailは、システムの仕様上いくつか制約がある。
それは主に、
- IP制限がかけられないこと(ポートのみ制限可)
- FTPがデフォルトで利用できないこと
の2点の制約がある。会員制サイト等個人情報を保護する必要のある仕組みには、あまり向いていないので注意が必要だ。
事例3:社内ストレージのクラウド化 [Amazon S3]
次は、ある顧客の社内ストレージをAmazon S3に移行した事例だ。
この顧客は、ビジネス拠点を中国から東南アジアにシフトするという経営戦略を立てていた。
それに伴い、中国にある物理ストレージサーバーを廃止し、クラウド化することで、拠点がどこにあっても利用可能なシステムを構築することを提案した。
そのIT戦略にマッチしたのが、Amazon S3だ。
しかしながら、S3単独では、Windowsクライアントからした際にストレージのデータ読み込み・書き込みを行うのが難しい。そこで導入したのがtntDriveというAmazon S3に接続できるクライアントソフトだ。tntDriveは、Windowsのネットワークドライブとして認識されるため、ITに詳しくない人でも簡単に操作できる。
Amazon S3は、公開ストレージだけでなくプライベートストレージとしても利用できるので、ストレージとして非常に汎用性が高い。さらに、保存コストがほとんどかからずデータ転送量によって課金されるのだが、かなり大きなファイル(10GB以上)を大量に転送しなければ、ほとんどコストがかからない(月$1~5)のが特徴だ。
Googleドライブに課金する手もあるが、ストレージの従量課金で考えると、Amazon S3のほうが大容量ファイルの保存に向いている。
これから動画の編集や保存を検討している方は、ぜひS3の導入を検討してみたらいかがだろうか?
事例4:ビックデータ基盤[Amazon Redshift]
次は、ビックデータの基盤を構築した事例だ。ビックデータと言ってもピンとこないかもしれないが、日々発生するデータを普通のデータベースではなく、大量に保存が可能でかつ検索しやすいデータベースに保存することで、データ分析に役立てることができる。
今回紹介する事例は、取り扱っている在庫と売上データを、店舗やECサイトから日次で送ってもらい、それを取り込んで蓄積していく仕組みだ。
通常のデータベースよりもTB(テラバイト)単位の大容量データを保存できるので、10年以上のデータを蓄積し続けることができる。
特にAmazon Redshiftは、PostgreSQLと言われるリレーショナルデータベース(RDB)をベースにしているため、クエリ処理も組み立てやすいのが特徴だ。
事例5:自動ビルド環境(CI)構築 [Amazon CodeStar]
最後に紹介するのが、Amazon CodeStarと言われるWebアプリケーション開発を効率的にできるプラットフォーム、Amazon CodeStarだ。Amazon CodeStarには、GitHubのようなGitリポジトリ(≒プログラムのソースコードを保存しておく場所)を簡単に作る仕組みを有しており、さらに自動でWebアプリケーションを公開できる点だ。
Amazon CodeStarにコミット(アップロード)した時点で、自動でWebアプリケーションの構築処理が動くので、開発者はリリース作業をしなくても自動で変更を反映することができる。
開発環境と本番環境で、設定ファイルやデータベースを切り替えすることもできる。さらに、アプリケーションを構築する際にテスト処理を実行することもできるので、リリース時の作業ミスもなくなり開発効率を大幅に上げることができる。
最後に
今回はAWSの構築事例を紹介した。
もし、AWSに興味のある人や、アプリケーション開発を効率化したい人。また、レンタルサーバーからAWSに乗り換えたい人は、お問い合わせいただければ幸いである。