【マーケター向け】まだInstagramで消耗してるの?デジタルマーケティングにおけるカスタマージャーニー設計の基本
2010年頃から人気を伸ばしてきたInstagram。
2013年にはアクティブユーザー数が1億人、2014年末には、アクティブユーザー数が3億人を突破し、Twitterのユニークアクティブユーザ数を超えた。
ところが、Instagramに写真をアップしている企業や事業者の方からは、
- イイネの数は増えたけど、集客につながらない!
- イイねの数の伸びの割に、売上が伸びない!
- フォロワー数が伸びない!
と言った切実な悩みをお聞かせいただくようになった。
今回は、顧客獲得から販売まで、デジタルマーケティングにおけるカスタマージャーニーの基本についてお伝えする。
Instagramの活用の要諦は集客にあらず。認知の拡大である
Instagramの最大の強みは、発信者独自の世界観の演出にある。
それこそが、現在のInstagramの機能で最も実現しやすいことなのだ。
その世界観の中で取り上げた商品やサービス、イベントの認知度を向上させ、購入動機を育てるのがマーケティング的な使用方法だ。
決して集客に特化した仕組みではない。
参考:minneのInstagramショッピング機能を使ってみて数日
Instagramだけを頑張っても売れない?カスタマージャーニーの基本
Instagramを頑張っても売上や利益がさっぱり伸びない!といったケースは、このカスタマージャーニの設計に問題があるケースがほとんどだ。
一般的にデジタルマーケティングの世界では、カスタマージャーニは、以下のステップに基づいて集客していくことになる。
Attract(見込み客になりそうなユーザーの引きつけ)
主にSNSで、興味を持ってもらえたりシェアしてもらえるようなファンを増やす段階をいう。
結論を言ってしまうと、販売商品やサービスに対してInstagramで惹き付けるべきユーザーは、Attract段階のユーザーだ。
この時点では、ユーザーは、商品・サービスのことや販売者のことはあまりわかっていない。
逆に言えば、Instagramだけいくら頑張っても、その後のフェーズでユーザーが離脱してしまえば、売上や利益が伸びることはない。
Convert(ユーザーを見込み客へ転換)
Attractの段階のユーザーをさらに、購入に一歩近づけさせるには、商品やサービスの情報をユーザーに対して発信し、ユーザーを見込み客へと教育していく必要がある。
- LINE@
- メルマガ
といったコミュニケーションツールを活用し、顧客に商品やサービスの情報を伝えて、より購入しやすい状態へとユーザーを教育していく。
Close(クロージング、顧客化)
見込み客に成長したユーザーに対しては、購入を促すサイト(ECサイト)に誘導したり、直接メッセージを送ったりして、購入を喚起させる。
この時点では、ユーザーは購入意欲が非常に高いので、比較的コンバージョン(成約率)が高くなる。
できるだけユーザーが購入時に戸惑うことがないように、最短距離で購入できるような仕組みを整えてあげることが重要だ。
Delight(顧客の満足度向上)
さらに、購入したユーザーに対してアフターフォローを行ったり、ユーザーの声をヒアリングしたりすることで、さらなる満足度向上を図る。
そうすることで、購入したユーザーだけでなく、見込み客の集客への安心材料を提供することにもつながるのだ。
アフターフォローを怠ると思わぬ形でSNSで不評が拡散するので、アフターフォローも集客の一環として考えておいたほうが良い。
参考:【マーケティング】インバウンドマーケティングとは?
Instagramの機能のおさらい
さて、Instagramはどのような機能があるのか?を解説する。
検索・フォロー
Instagramは、人(ピープル)、ハッシュタグ、場所(スポット)から対象の写真を検索することができる。また、上位検索結果は、検索履歴やフォロー履歴をもとに、ユーザーが興味がありそうなアカウントを優先して表示してくれる。
興味があるユーザーをフォローすると、フォローしたユーザーが発信した画像や動画、ストーリー(後述)が、タイムライン上に表示され簡単に見れるようになる。
撮影・投稿
Instagramのメインの機能だが、写真や動画をその場で撮影して投稿したり、撮りためていた画像をアップロード、投稿できる仕組みだ。
複数の画像をまとめて投稿することもできるし、編集機能を利用してコントラストを変えたりと、かなり柔軟に画像の加工を行うことができる。
ストーリーズ
写真や動画を組み合わせて、3秒~15秒の動画が24時間限定で投稿できる機能だ。
ストーリーズは気軽に投稿できることがポイントで、投稿した動画は自動的に24時間後に削除される。
ショップ機能
2018年6月に新たに加わった機能だ。
ショッピング可能なアカウントで写真を投稿すると、タイムラインやビジネスプロフィール上の写真の左下に、購入するボタンを表示することができる。
現在のところ、Instagramのショッピング機能を利用するのに費用は掛からない。
しかし、Instagramのショッピング機能の利用承認を受けるには、以下の条件を満たす必要がある。
- ビジネスで、提供者契約とコマースポリシーに準拠した物理的な商品を販売している
- Instagramアカウントがビジネスプロフィールに移行済みである
- Instagramアカウントが所有権のあるFacebookページと接続されている
- Facebookページでショップセクションを追加もしくはビジネスマネージャでカタログを作成している(あるいはBASE、EC-Cubeなど、カタログ作成をサポートする国内事業者のECプラットフォームと連携する)
参考:Instagramの「ショッピング機能」を解説! 導入方法&活用事例&支援サービスまとめ
Instagramを使うユーザーの属性と行動を、正確に把握すべき
そもそも、Instagramはどのような人たちが最も利用しているのか?
その調査結果をまとめたデータがマイボイスコム社より発信されている。
[22614] インスタグラムの利用に関するアンケート調査
これを見ればわかる通り、Instagramの利用目的は「購入」が目的ではない。有名人や著名人の投稿を見たいという動機が54%と圧倒的に多い。その次は、周りの人の近況を調べたり、興味のある分野の情報収集が主な目的になっている。
さらに、Instagramを活用しているユーザーの行動が興味深い。約6割の人がいいねをするのだ。また、見逃してはいけないのが次のアクションだ。投稿された商品・サービスについて調べたり、投稿された店や場所・イベントについて調べたりユーザーが全体の約3割ほどを占めている。
つまり、彼らの行動は、
- 有名人のInstagramアカウントを見る
- 興味のある商品やサービス、イベントをGoogle等で検索する
- 検索した商品やサービスを購入したり、イベントに参加したりする
といったステップ(カスタマージャーニ)を踏んでいる。
購入やイベント参加といった直接的な購入行動に結び付いた割合は、20%弱とそれほど多くはない。
参考:インスタグラム利用者の約1割が「投稿された商品を購入」
つまり、Instagramで直接商品やサービスを購入させようとしても、Convert(ユーザーを見込み客へ転換)の段階を踏んでいないので、購入意欲の高いユーザーは集まりづらいのだ。
購入意欲を高めて成約率を上げるには、直接購入喚起をさせるのではなく、InstagramでAttract(見込み客になりそうなユーザーの引きつけ)を行い、見込み客へ成長させる施策へと誘導するのが効果的だ。
最後に
ここで大事なのは、それぞれのフェーズにおいて、使ったほうが良いツールが異なるという点にある。
デジタルマーケティングには、正解はない。
対象ユーザーの属性(年齢・性別・場所・職業など)や、利用可能なITツールによってもアプローチ方法は多種多様だ。
正解を導きだすためには、カスタマージャーニーに関する仮説をたて、設計、実施し、その結果を分析して改善する。
まさにPDCAを素早くまわすことで、デジタルマーケティングで売上や利益を拡大することができるはずだ。