【起業家向け】スタートアップが失敗するケースとその経験談
最近、ドラマ“ユニコーンに乗って”で取り上げられているスタートアップだが、その実スタートアップは3年以内に92%が廃業するといわれている。
今回は、最近の経験談をもとに、スタートアップの失敗ケースをお伝えする。
スタートアップが失敗するケース
スタートアップが失敗するケースの中で、上位5つの理由が87%を占めている。
その1つ1つを紐解いていくと、次のような理由になる。
- 市場のミスマッチ:誰からも必要とされていないものを生み出そうとしている(36%)
- 不十分な採用:十分な人的リソースを確保できていない(18%)
- 営業とマーケティングの失敗:製品ができるまで時間をかけてしまい販売タイミングを逃してしまったり、MVP(Minimum Viable Product)の販促に失敗してしまう(13%)
- 適切な共同創業者不在:これまで協業したり一緒に仕事した経験がないまま創業してしまい、困難なスタートアップ経営をさらに難しくしている(12%)
- 顧客よりも投資家を優先:事業に取り組むよりも投資を求めることを優先してしまう(8%)
翻訳元:5 ways for venture builders to reduce startup failures
共同経営してみて体感した、失敗したスタートアップ事例
では、実際にスタートアップを共同で創業した経験をもとに、どのような感じで失敗に至ったのか?を赤裸々に語ろうと思う。
共同経営した事業内容は、
◆事業内容:子供向けオンラインレッスン事業 ◆資本金:800万円~ ◆事業母体:ジョイントベンチャー形式(教育事業 / IT事業) ◆創業:2020年~
といった内容だ。
上記事業で失敗した要因はいくつかあれど、主な理由として3つあげることができる。
- 営業とマーケティングの失敗
- 不十分な採用
- 適切な共同創業者不在
営業とマーケティングの失敗
最大の要因は、マーケティングの失敗だと考えている。
いや、実際初期の立ち上げの段階では、順調な滑り出しだった。
2020年にコロナ禍が始まり、学校や塾の休校が相次いだタイミングでMVPを立ち上げたところまでは、模範的なスタートアップの立ち上げだったと自負しているが、その後の過程に非常に問題があったと言わざるを得ない。
本来は、MVPの反応をもとにマーケティング戦略を練り、実行し、改善していかなければならないのだが、それを怠ったのが根本的な原因だ。
資金繰りも、オンラインレッスン事業のマネタイズを改善することを最優先にせず、周辺事業(システム受託開発等)でキャッシュを稼ぎ穴埋めするという悪しき流れを作ってしまった。
その結果、オンラインレッスン事業サイドに甘えが発生して集客がおろそかになってしまったことで、事業が想定よりもスケールせず、時間がたつにつれ競合が次々とオンラインレッスン事業に参入してきてしまった。
不十分な採用
顧客(CS)対応や講師マネジメントへのリソース不足に対する対応が後手後手になったのも、事業を成長させるうえで足かせになった。
本来は、マネジメント対応等は増員したメンバーに任せ、創業メンバーはマーケティングに特化すべきだったと思うが、適切な採用を行わず創業メンバーのタスク離れが悪かったことで、マーケティング対応がおろそかになってしまった。
適切な共同創業者不在
上記2つの理由と関連するのが、適切な共同創業者不在だ。
特に、今回の事例で言えば、適格な最高経営責任者(CEO)をアサインできなかったことが致命的だった。
創業メンバー全員にも責任や問題点はあるが、お粗末にも、以下の事例のように”経営”ができていなかったCEOの資質・スキルの問題が大きかったと思っている。
- 集客、マーケティング優先すべきところを、他の団体へのジョインへリソースを割いていた。
- クライアント優先ではなく、講師マネジメントを優先した。
- 技術、運用を始めとした各メンバーへのマネジメントがおろそかになっていた。
- B/S(バランスシート)、P/L(損益計算書)、C/F(キャッシュフロー)を把握できていなかった。
スタートアップを共同創業する際の注意点
スタートアップを共同創業する際は、
- CEOになる人が、”経営”できる人間か?集客を最優先にできるか?
- 経営指標(KPI)を、適切に設計でき、かつトレースできるか?
- マネタイズが起動に乗るまでに、他のキャッシュエンジンで必要な資金を確保できるか?
といった点に気を付けたほうが良い。
上記3つに注意するだけでも、失敗事例の5つのうち私が失敗した3つは回避できると思う。
これから起業する人、スタートアップを経営する人、スタートアップを共同経営する人の参考になれば幸いである。