【コラム】ITリテラシーを向上させ、攻めのIT投資を
最近、様々な人とのコミュニケーションの中で、
と思ったケースがあった。特に彼らに共通するのが、ITリテラシーの低さと、IT投資に関する「無駄な合理性」の主張なのだ。
今回は、ITリテラシーとは何か?ということと、IT投資に対する重要性についてお伝えする。
ITリテラシーとは何か?
まず、ITリテラシーとは何か?を整理してみた。
広義では、多くの情報の中から正しい情報をチョイスする「情報リテラシー」と置き換えることができます。
出典:Udemyメディア(https://udemy.benesse.co.jp/archives/it-literacy.html)
平たく言えば、情報の取捨選択のレベルの高さを意味するわけだし、もう少し分野を絞って言及すれば、ITに関する情報や投資の取捨選択ができる能力だ。
ITリテラシーが低いとどうなるのか?
では、ITリテラシーが低いとどのような影響があるのか?
- 作業効率が一向に上がらない
- ITベンダーに騙される。搾取され続ける。
- セキュリティ事故が発生し、多額の損害賠償を払う
経営合理化を進めた結果、IT投資を削減してしまい、結果として生産性の低下やセキュリティインシデントを引き起こした例は、枚挙にいとまがない。
経営合理化とIT投資の目的は、必ずしも一致しない
ところで、経営における一般的な合理化とは、以下の様に定義される。
経営合理化は、対外的合理化と対内的合理化に二分される。対外的合理化は、市場開拓、流通システムの改善、製品構成の変更、立地政策、公害対策などの形で進められるが、そのねらいは、各種環境主体と円滑な相互関係をもつことにある。対内的合理化は、生産機能的な経営技術的システムの合理化と、人間関係的な経営社会的システムの合理化とからなる。前者は、生産能率の上昇をねらいとし、生産の設備・方法・システムについて改善する。後者は、生産意欲の向上をねらいとし、福利厚生の拡大、情報や決定への参加の拡大、成果分配の改善などをいう。
出典:経営合理化
まとめると、生産能率と生産意欲を向上させることを経営合理化と定義している。
昨今では、生産能率を上げるためにIT投資を行っているケースが大半だが、本来のIT投資の目的はそれだけにとどまらない。
IT投資の目的は、主に3つだ。
- 生産能率の向上(コンピューターライズ)
- 不確実性の高い経営リスクの排除 – セキュリティ対策(リスクヘッジ)
- 対顧客などの外部向けたビジネス対応力の向上、あるいは業務やビジネスの変革(デジタルイノベーション)
経営合理化を進めるときは、定量評価をベースとした合理化が普通だが、それを単純にIT投資に当てはめるのは危険だ。
経営合理化を進めると、顧客に対する直接価値を生じないセキュリティ対策をおろそかにしがちになるが、その投資を怠ると先述の通り大きなダメージを食らう。
加えて、生産能率の向上と言っても工場生産の様に定量評価できる生産指標もあれば、カスタマーサポートの様に定量評価が難しいものもある。
下手に経営合理化を進めると、IT投資に対する遊びがなくなり、結果として生産性を下げ、不確実性の高い経営リスクを背負うことになりかねないのだ。
一見、経営合理化と相反するようなIT投資を実現するためには、経営合理化と同時に経営にある程度の遊び(バッファ)を設ける必要がある。
経営者は「攻めのIT投資」をどう捻出し、評価していくか
但し、遊び(バッファ)についても定量・定性両面から評価し、投資した結果がどのような結果をもたらしたのか?をモニタリングして、今後の事業戦略に落とし込んでいく必要があるだろう。
ITリテラシーを高めるには、不確実性のリスクを受け入れ、常にIT投資を続けること
ところで、
という意見もあるようだが、私はこれには疑問を感じる。
はっきり言うが、この手の話はきりがないのだ。
我々ITベンダー側も当然学ぶ必要があるし、必要があれば議論する。最大限説得に努力する。
だが、顧客側にもITリテラシーを高める努力と、IT技術への投資への前向きな姿勢がなければ、ITベンダー側の人間と議論の方向性が同じにはならないため、常に平行線で終わってしまう。それでは、顧客側にもメリットがない。
では、顧客側は、どうすればITリテラシーを高めることができるのか?
それには、
の一言に尽きる。
常に最新のIT技術をキャッチアップし、試験的に導入し評価する。そのための予算と時間を確保する。
経営合理化とは相反する考え方だが、そのくらい身を削ってでも実施しなければ効果はないし、いずれ大きなしっぺ返しを食らうことになるだろう。