新年に想う – 顧客の課題を解決するビジネスモデルの重要さ
2018年元旦。マレーシアで初日の出を見るべく、ゲンティンハイランド(Genting Highland)へ向かった。
残念ながら天候が悪く、初日の出を見ることはできなかったが、
そこで見た光景に、自分が今まで持っていた先入観が大きく崩れ、新年からいきなり洗練された気分になった。
今回は、顧客の課題を解決するビジネスモデルの重要さについてお伝えする。
寺院の中にスターバックス(Starbucks Coffee)?!
ゲンティンハイランド(Genting Highland)は、文字通り標高1700m近い山の上に作られたリゾートである。
そこから、すぐ近くの山の中腹に清水岩廟(Chin Swee Caves Temple)という寺院がある。
見下ろすと、非常に雲海がきれいな場所で、実はマレーシアでは隠れた観光スポットになっている。
そこで見たのは、雲海だけではなかったのだ。
実は、敷地内にスターバックス(Starbucks Coffee)があったのだ。
(下図赤枠内が看板)
当初は、非常にカルチャーショックを感じたのだが、考えていくにつれ非常に面白いマネタイズをしているな、と感心してしまった。
日本では考えられない視点
清水岩廟(Chin Swee Caves Temple)は、日本の主な観光施設と異なり、入場料は無料である。誰もが雲海の景色を楽しむことができる。
また、敷地内にはバリアフリー対策として、駐車場と隣接してエレベータやエスカレータが整備されている。
本来であれば、この設備費用を賄うことは難しいだろう。
ところが、この寺院は、スターバックスやレストラン、お土産屋から場所貸し費用を徴収し、かわりに観光客の利便を図っている。
非常にうまいカラクリで、施設の意思費用をまかなっているのだ。
特に、ゲンティンハイランド(Genting Highland)は、南国のマレーシアとしては珍しく平均気温が15-25℃と、非常に気温が低い土地だ。
この寺院に来る観光客は、南国の温度帯(25-30℃)である首都クアラルンプールから、バスやタクシー、自家用車等で山を登ってくる。
その際の気温差は10℃近くになる。
急に寒くなる山中で、暖かいお茶やコーヒーがあったらほっとするだろう。
逆に帰りは暑くなるわけだから、アイスコーヒーを買って帰ればよい。
そのためにスターバックスやレストランを誘致しているとしたら、かなり観光客のことを配慮している。
逆に、日本の観光施設には、そういった配慮がない。
地方の有名な観光名所には、スタバのような一般的なお店はないし、真夏に暑いほうじ茶を出してくるようなお店もある。
日本の観光は、日本人視点に立った自己満足の「おもてなし」に終始しており、観光客の課題を解決するための「おもてなし」になっていない。
そして、施設をどう維持していくか?のマネタイズができていないのだ。
これでは、世界の中で「おもてなし」を謳ったところで、自己満足で終わってしまい、引き続き無駄な税金が施設維持のために使われることになるだろう。
- 施設維持費用をどう賄うか?
- 観光客の目下の課題をどう解決するか?
日本が観光立国になるためには、こういった視点で観光施設を再整備する必要があると思う。
そんなことを新年早々に感じながら、雲海に包まれた寺院を跡にした。