【海外移住希望者向け】マレーシア移住の光と影。しっかりとした調査と事前準備を!

4/24(水)、テレビ東京で放送の「日経スペシャル 未来世紀ジパング」(毎週水曜夜10時)で、「プラスチック」の規制と、日本人に人気の「海外移住」特集があった。その中でもマレーシア移住について少なからず反響があった。
私もマレーシア移住をした人間だが、率直な感想として、4/24で放送された部分はほんとごく一部の情報に過ぎない。
今回は、マレーシア移住を体験した人間として、マレーシア移住の光と影についてお伝えする。
移住するからには、日本と同じ生活水準を期待することに無理がある
日本人にありがちなのが、海外移住するときに、
といった幻想を抱きがちである点だ。
マレーシア移住に関しては、当然いい面(メリット)もあれば悪い面(デメリット)もある。
その中で、自分にとって許容できる移住先か?をしっかり検討する必要がある。
マレーシア移住に必要な居住環境の調査
食事・文化
マレーシアの食事事情は、思ったより日本に近い。
クアラルンプールやペナン、ジョホールといった大都市であれば、日本食(和食)レストランには事欠かないし、現地の洋食・中華レストランも日本と味・価格両面比較しても申し分ない。
ところが、食費を抑えるため現地のローカルフードを食べようとする場合は要注意だ。
現地の料理は、ナシレマ、ナシゴレンといったマレー料理屋、肉骨茶(バクテー)やミー(麺)といった中華風料理が主になる。
そういった料理が口に合うのかどうかは、事前に現地にいって調査したほうが良い。
また、和食を中心に生活する場合、スーパーに売っている冷凍食品は日本より高価な場合があるので注意が必要だ。といっても、サーモンや野菜、果物については、マレーシアのほうが日本と比べてバリエーションがあるので、自分に合った食材を費用・味両面から比較することになる。
なぜなら、マレーシアは野菜や肉類、果物類を中国、台湾をはじめオーストラリアやニュージーランドといった様々な国から輸入しており、そのコストが安いので、食事の材料について豊富なバリエーションを用意できるからだ。
実は、こういった選択肢の多さが、人によってはマレーシアにおける食費が日本より高価に思う要因の1つになっている。
といっても、物価はそこまで高くなく日本と同レベルであるので、特に和食ばかり食べるといった贅沢をしなければ、日本と同じような食事や飲み物で生活することは可能だ。
居住環境
はっきり言って、マレーシアの居住環境は日本と比べ物にならない。人口密度が日本の1/4(国土面積が日本とほぼ同じだが、人口は3,200万人)であるため、1戸当たりの居住スペースが非常に広い。
現地のマンション(コンドミニアム)でも、2DK以上の物件が10万円程度で賃貸できる。さらに、各部屋にトイレとシャワーがついているので、非常に快適だ。

また、家具も備え付けられているのが大半なので、日本から移住する際に家具を持ってくる必要はほとんどない。

しかしながら、日本人が現地で生活する際は、以下のポイントが重要になってくる。
- 水回り事情。現地の水道(浄水)はろ過されずに出てくるので、たまに茶色く濁った水が出てくることがある。
場合によっては日本等で水道フィルタを購入する必要あり。 - 風呂まわり。原則現地はシャワーのみでバスタブがないケースが多い。ゆっくりバスタブに入りたい人は、専用の物件を探す必要あり。
- トイレ。マレーシアのトイレ事情は非常に悪い。トイレットペーパーが備え付けられるかのチェックが必要になることも。
学校や職場環境
マレーシアに移住して生活するには、お金の面を含めて以下の生活パターンがあげられる
- 現地の学校に通う(インターナショナルスクール、大学編入など)
- 現地の日系企業に就職する(現地採用)
- 現地の日系企業に駐在員として派遣される
- 現地で起業する
自分が、1~4のどのカテゴリで移住したいのか?を明確にしておく必要がある。なぜなら、それぞれ必要な費用やビザが異なるからだ。
現地への送金
意外と忘れがちなのが、現地への送金だ。
クレジットカードを持っていれば、たいていの国で使えるのでそれほど気にすることはないと思うが、現地通貨(マレーシアリンギット)で貯蓄したり生活するとなると、日本から現地の個人口座に送金する必要が出てくる。その際、日本から海外送金を行う際は高い手数料と手間暇がかかるので、こちらも事前に調査しておいたほうが良い。
マレーシアで長期滞在するために必要なビザ
マレーシアに移住もしくは長期滞在するときには、以下のいずれかのビザを取得する必要がある。90日以内であればこの記事にもある通りノービザで滞在可能だ。
- 就労ビザ(6種類)
- 学生ビザ
- 配偶者ビザ
- 永住権
- MM2H
就労ビザ
マレーシアの就労ビザは、大きく分けて6種類ある。
◆雇用パス(Employment Pass)
役職(Position)によって種類が3つ(カテゴリ1~3)ある。マルチプルビザのため何度も出入国が可能。
- カテゴリ1:現地の経営者またはマネージャ層向け。
給料10,000RM以上(≒27万円)5年以上滞在を前提。ビザ更新は2年ごと。 - カテゴリ2:現地で専門性を発揮する職種向け。
給料5,000-9,999RM(≒13~27万円)2年程度の滞在を前提。ビザ更新は2年ごと。 - カテゴリ3:単純労働者向け。
給料3,000~4999RM(≒8~13万円)2年未満の滞在を前提。ビザ更新は1年ごと。
参考:EMPLOYMENT PASS RE-CLASSIFICATION (CATEGORY I, II AND III) [英語]
◆レジデンスパス(Residence Pass)
国家重要経済分野において、外国人の優秀な人材を長期にわたりマレーシアへ誘致・確保することを目的としたビザ。
配偶者および18歳未満の同伴家族も当該パスの申請が可能で、 配偶者も雇用パスの取得なしに就労が可能。
最長10年間滞在可能。家族帯同可。
参考:Talent Corporation Malaysia Bhd [英語]
◆プロフェッショナルパス(Professional Visit Pass)
滞在期間や日程がほぼ決まっており、特別プロジェクトや
機械修理・技術指導の業務のために1年未満の短期滞在をする就労者が対象のビザ。
就労者はマレーシア国内の企業に就職する必要はない。
最長1年間滞在可能。家族帯同不可。
◆マレーシア人の外国人配偶者の就労許可
マレーシア人の配偶者である外国人が、配偶者として1年以上の長期滞在ビザを取得した上で就労する場合、就労許可を取得することができる。
長期滞在ビザは、最長5年の期間で滞在可能。
◆一時就労パス(Temporary Employment Visit Pass)
出張用や研修用のためのビザ。最長1年。
学生ビザ
留学期間が3ヶ月を超える場合は学生ビザの申請が必要。
留学期間が90日未満の場合、原則として6ヶ月以上の残存期間のあるパスポートと往復航空券があれば学生ビザは不要。
また学生ビザ取得の流れ、条件等は学校によって異なる。最近では、入学前の試験に通過しないと学生ビザの発給要件を満たさない等の足きりがあるので注意。
最長は滞在可能日数は1年間。延長手続きで最長2年間。週20時間以内の就労が可能。
配偶者ビザ
マレーシア国籍の方と結婚すると長期滞在査証(1年更新)が発給される。5年を経ると永住権の申請資格が得られる。
イスラム教徒であるマレー人などとの婚姻は、事前にイスラム教に入信する必要がある。
さらに、現地の結婚登録局に届け出て結婚証明書を取得する必要がある
また日本大使館への婚姻届提出には結婚証明書の添付が必要て。
滞在可能日数は1年以内。都度更新可能。
永住許可証(PR)・永住権
合法的に継続して5年間滞在していることと、税金を年間RM7,500以上納付していることが申請、取得の最低条件。
職業の指定はなし。
有効期限は無制限(永住)だが、選挙権なし。取得は非常に困難。
MM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)VISA
MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)とは、最長10年間の滞在が可能なビザで、滞在期間は何度でも行き来することができるマルチプルビザ。
マレーシアに移住する人に最も人気があるのがこのMM2Hだ。条件次第ではパートタイムで働くことも可能。
最長10年間。移民局からの許可があれば更新可能。
ただし、取得するためには収入照明や資産照明をはじめとした高難度な条件があるため、簡単に取得することはできない。
- 50歳未満の人
- 最低50万リンギット(約1350万円)以上の財産証明と月額1万リンギット(約27万円)以上の収入証明が必要。
- 仮承認がおりた後はそのうちの30万リンギット(約810万円)をマレーシアの金融機関に定期預金する必要あり。
※2年目以降は医療費、家の購入、同行した子供の教育費目的に15万リンギットを引き出す事が可能。
- 50歳以上の人
- 最低35万リンギット(約945万円)以上の財産証明と月額1万リンギット(約27万円)以上の収入証明又は年金証明が必要。
- 仮承認がおりた後はそのうちの15万リンギット(約405万円)をマレーシアの金融機関に定期預金する必要あり。(2018年4月3日改正)
※2年目以降は医療費、家の購入、同行した子供の教育費目的に5万リンギットを引き出す事が可能。
参考・引用:マレーシア長期滞在 – ロングステイ
マレーシアに移住して直面した問題から得た気づき、移住に必要なポイント
マレーシアに移住する際に直面した問題は、主に以下の3つだった。
- 現地で生活するための、自分に最適な居住環境の確保
- 現地で仕事する際の環境作り(現地採用or起業?)
- 現地で滞在するためのビザ取得
今後マレーシアに移住したいと思っている方は、TV等の情報を鵜呑みにせず、しっかりと事前調査や準備をされることをお勧めする。